それにしても思うんですけど、フレーム・オブ・マインドで語られたりした姉妹のかたちからすると、半日デート券はちょっとあんまりな副賞ですよね。不倫逢引に相当する感じですから、由乃んが心穏やかでないのは至極当然です。
アニメの良い所は三奈子さまがとても生き生きしている所ですね。とはいえねちねちした交渉場面が枝葉と判断された様で、大半が削られていましたけど(笑)
何故か分からないんですけど、音楽の通奏低音っぽいのが何故か聴いていてあんまり良く思いませんでした。もう少し爽やかな曲でよいと思うんですけど、この当時の山百合回は重々しい感じで書かれていたから、こういうバロック音楽から表現意欲を抜いたような典雅な曲が良いのでしょうか・・・。
原作を読み返してもアニメを見ても思うのは、この頃の祥子さまは怒ってばっかりだなという事です。もう見ていられないレベルです。その頃から比べると最近ではそんなのは全く気になりませんし、むしろ祐巳や瞳子に対する慈しみには素晴らしい物が有ります。もしかしたら出番が減っているだけなのかもしれませんが、物凄く成長されたのではないでしょうか。
祐巳ちゃんが静さまと話したのは原作では掃除の直後ですけど、アニメではピアノの上で祐巳が令さまから貰った資料を読み込んでいる時に会った事になっていました。音楽室の、しかもピアノの上でそういうことをするのはいかにも不自然で、意味の無い改悪だと思います。こういう所を普通にやるだけでもアニメ版は評価が上がると思うのですけど、自分の裁量権を懐に仕舞い込んで原作に従う事のは中々難しいのでしょうか。マリア像の前で祐巳が祥子さまを無視をしたというやはり原作に無い話もいかにも余計で浮いていて、祥子さまの怒りの理由をフォローする為だと思うんですけど、不要だと思います。
アニメらしい良さとしては祐巳ちゃんが窓をぱぁっと開けるシーン(祐巳ちゃんのやっていること事体は余り良くないのですが)や聖さまが志摩子さんに笑いかけるシーン、祥子さまが薔薇の館の二階のドアを開けるのを逡巡するシーンなどが良かったです。特に祥子さまのは媒体を生かした原作を上回る描写で感心しました。
祥子さまの一人称って「わたくし」なんですよね。無意識に「わたし」と読んでしまう事も多かったで、結構印象が変わります。今回の祥子さまが祐巳を問い詰めるシーンでも、原作を読む限りでは結構声量を上げて話しているのかなと感じたんですけどアニメでは小さな声で、声を担当なさっている伊藤美紀さんの終始抑制された消え入るような声は良質のお能の如き迫力が有りました(笑)
それにしても、以前は志摩子さんの声は脳内では確りしていて且澄んだ声をしていたんですが、最近自動的に能登さんの声で再生される様になってしまいました。僅かに哀しくも有り楽しくも有ります(笑)
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