東京BABYLON・4

(注意、滅茶苦茶マニアックです)
Q.北都ちゃんには最初から星史郎が怪しいと思っていた節があるけれど、だったらなんで星史郎の昴流への接近を許したんでしょう?昴流に執着を持って欲しいから、って普通危ないと思ったら追い出しませんか?

(脳内補完)A.北都ちゃんが鋭過ぎて、星史郎も知らない星史郎の本質を見抜いてしまったお陰で、なんとなく追い出せなかったんだと思います。

この物語で一番高い視点に身を置いているのは北都ちゃんだといえます。

北都ちゃんは星史郎に感情が無い、ということを初期の頃から見抜いていました。

だからある程度の警戒は示すのですけど、何故か追い出しはしません。

一番の理由ははやっぱり北都ちゃん本人が言っているように、昴流に執着を持って欲しかったからです。

しかし、「星史郎なら昴流の特別な人になれると解っていた」って、北都ちゃん・・・・。

ノーマルな男が男を好きになる確率は天文学的に低いと思うのですが・・・まぁ、いいや。

でも、それだけで、いやだからこそそんな危険な男を昴流に近付けるでしょうか。

もう一つの理由は北都ちゃんが死ぬ時の台詞に表れています。

やっぱり私貴方のことが気に入ってるんだよ。

北都ちゃんが星史郎のことを気に入っている、というのは当たり前ですけど不思議な話です。

恋愛感情ではないかという人もいますが、私はそうではないと思います。

気に入っていたという理由の一つは前の話で述べた、星史郎の良い部分が北都ちゃんには分かっていたということだと思います。

純粋で真面目で人の気持ちをよく理解し精神が強くて優しい。

実際書いてみるとこれは化け物ですね。究極の生命体ではないかと。(笑)

クランプ作品随一の人気キャラの実力たるや恐るべしですね。

かといって北都ちゃんがもし星史郎に心が無いと思っていたら、昴流の近くに置くわけがありません。

二つ目の理由は二番目の台詞の中にあります。

償えない罪は確かにあるけど・・・人を愛しちゃいけない人なんていないんだよ。星ちゃん。

「償えない罪」のせいで人を愛しちゃいけないと星史郎が思っていると北都ちゃんは言っていますので、罪の意識による心の抑圧が無ければ、本来星史郎は人を愛せる人間であると北都ちゃんは言っているわけです。

北都ちゃんは物語の最初の方から、星史郎は危険なやつだけど、ただ態度と心がリンクしていないだけで心が無い人間ではない、直感的にせよそこまで星史郎を理解していたからこそ、追い出さなかったのだと思います。

ちなみに、星史郎はこの言葉に冷笑を返します。つまり自分が自分の心を抑圧していることに星史郎は気が付いていなかった(もしくは気づかないふりをしていた)といえます。

最終的には星史郎には心が実はあったということで死にますので、北都ちゃんは星史郎も知らない星史郎を知っていた、つまり星史郎より高い視点に身を置いていたといえます。

しかし物語の結末を考えると、やっぱり星史郎は追い出したほうが良かったのではないかとも思えます。

北都ちゃんがもうちょっと鈍くて、星史郎は本当に心が無い人間だと思っていれば、こういう最終回にはならなかったのではないでしょうか。

初めから寄せ付けない、もしくは心の無い(実際は有る)ことに気が付いて、昴流、危ない!とかいって二人で星史郎を倒しておしまいとか。

普通の優れた作品ではそういうことも有ると思うんです。

しかし本作においては、更にもう一段仕掛けがあって、しかもその方針がほぼ初回から貫かれていることにclampの圧倒的な非凡さを感じるのです。

このように一人一人の個性とその相性を観ていくと、この話にはまず三人の資質が有って、このような三人が出会えば必然的にこのような結末なるのではないか、と思わせる所がこの作品の恐ろしいまでの素晴らしさの理由だと思います。

一つ一つの話は違いますが、大筋の物語はキャラがあってあとはキャラが勝手に動いておしまい、という話なのです。

偶然を必然にするのがclampマジックだといえます。

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